認知症に良い食事とは?〜脳を守るための栄養と食習慣〜
「最近、物忘れが多くなった」「脳の老化を防ぐ食事を知りたい」――そんな方が増えています。
認知症の発症には遺伝や加齢だけでなく、食生活が大きく関係していることが、近年の研究で明らかになっています。
食事を見直すことで、脳の血流や神経の働きを改善し、認知症リスクを下げることが可能です。
今回は、医学的根拠に基づいた「認知症に良い食事」についてご紹介します。
認知症予防と食生活の関係
認知症の多くは「アルツハイマー型」や「血管性認知症」と呼ばれるタイプで、脳の血流低下や神経細胞の損傷が関係しています。
そのため、血管と神経を守る食習慣を続けることが、脳の老化予防に効果的です。
海外では、食事による認知症予防研究が進んでおり、特に注目されているのが「地中海食」や「MIND食(マインド食)」です。
これらの食事法は、心臓病・糖尿病・認知症のリスクを減らすことが証明されています。
地中海食とは?
地中海沿岸地域の食生活をモデルにした健康食です。
魚、オリーブオイル、野菜、果物、豆類、ナッツ、全粒穀物を中心とし、赤身肉やバターを控えます。
特徴的な食材
オリーブオイル:悪玉コレステロールを減らし、血管を保護
青魚(サバ・イワシ・サンマ):DHA・EPAが神経細胞を保護
野菜・果物:抗酸化作用で脳の老化を防ぐ
ナッツ・豆類:ビタミンE・マグネシウムが神経伝達を助ける
赤ワイン(適量):ポリフェノールが血流を改善(※過剰摂取は厳禁)
食事例
朝食:全粒パン+オリーブオイル+ヨーグルト+フルーツ
昼食:サラダ+サバのグリル+玄米
夕食:野菜スープ+豆料理+魚介のオリーブ煮
MIND食とは?
MIND食(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)は、地中海食に米国の「DASH食(高血圧予防食)」を組み合わせた食事法です。
シカゴ大学の研究では、MIND食を実践した人は認知症発症率が最大53%低下したと報告されています。
MIND食で推奨される食品
緑黄色野菜(ブロッコリー・ほうれん草)
ベリー類(ブルーベリー・イチゴ)
ナッツ類
オリーブオイル
鶏肉・魚
全粒穀物
逆に、バター・菓子・揚げ物・加工肉・チーズの摂りすぎは控えるようにします。
認知症に良い栄養素
1. DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)
青魚(サバ・イワシ・サンマなど)に多く含まれる
脳の神経細胞膜を保護し、炎症を抑える
2. ビタミンE・C(抗酸化ビタミン)
ナッツ、ブロッコリー、柑橘類に豊富
活性酸素を減らして脳の老化を防ぐ
3. ビタミンB群(B1・B6・B12・葉酸)
豚肉、レバー、卵、玄米に多い
神経伝達物質の合成を助け、認知機能を保つ
4. ポリフェノール
赤ワイン、カカオ、ブルーベリーに含まれる
脳血流を改善し、記憶力を維持
食べ方のポイント
ゆっくり噛んで食べる:脳への刺激になり満腹感も得られる
一日3食を規則正しく:血糖変動を防ぎ、脳への負担を減らす
減塩・減糖を意識する:高血圧・糖尿病を防ぎ、血管を守る
家族や友人と一緒に食事をする:社会的交流が脳への刺激になる
患者様へのメッセージ
認知症は「加齢とともに仕方ない」と思われがちですが、食生活を見直すだけでも脳の健康は守れます。
脳の細胞は一度傷ついても、適切な栄養と刺激で再生する可能性があります。
「最近、物忘れが気になる」「将来の認知症を予防したい」という方は、ぜひ日々の食事から始めてみましょう。
当院では、MCI(軽度認知障害)チェックや栄養指導も行っており、食生活の改善をサポートしています。
“食べること”が、明日のあなたの脳を守ります。
一人ひとりのライフスタイルに合わせた、続けやすい認知症予防法をご提案いたします。
