こんにちは。脳神経外科クリニックのブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、患者さんからよくご相談いただく 「閃輝暗点(せんきあんてん)」 について解説します。

「急に視界がキラキラして不安になった」
「片目だけギザギザ光る模様が見えた」
「視界の一部が欠けて運転中に怖かった」

このような症状で受診される方は少なくありません。
閃輝暗点は片頭痛の前兆としてよく起こる現象ですが、脳や目の病気が隠れていることもあり、正しい理解が大切です。


■ 閃輝暗点とは?

閃輝暗点は、視界に以下のような異常が突然現れる症状です。

  • キラキラ光るジグザグの線

  • 稲妻のような光

  • モザイク状の模様

  • 視野の一部が欠ける

  • 波打つような光の輪が広がる

多くの場合、10〜30分程度で自然に消えるのが特徴です。
続いて 片頭痛のズキズキした痛みが出てくることが多く、前兆(オーラ)と呼ばれます。


■ 閃輝暗点の原因

医学的には、脳の神経が一時的に過剰興奮したあと静まる 皮質拡延性抑制(CSD) という現象が原因とされています。
これにより後頭葉の視覚野が影響を受け、光の異常知覚が起こります。

● 起こしやすい誘因

  • ストレス・疲労

  • 睡眠不足

  • 低気圧・天気の変化

  • 月経周期

  • 食事を抜く

  • 強い光刺激

  • スマホ・PC作業のしすぎ

  • チョコ、チーズ、ナッツ、赤ワインなど

生活習慣や環境の負荷で起こりやすくなります。


■ 危険なケースは?

閃輝暗点の多くは良性ですが、以下は注意が必要です。

  • 40歳以上で初めて起きた

  • 片目だけに起きる視野欠損(眼性TIAなどの可能性)

  • 1時間以上続く

  • 発作が急に増えた

  • 手足のしびれ・呂律障害を伴う

これらは脳梗塞や眼科疾患を鑑別する必要があります。
不安な場合は早めの受診をおすすめします。


■ 閃輝暗点が出たときの対処

症状が出たら、まずは落ち着いて以下を試してください。

  1. 明るい光や画面から離れ、静かな場所で休む

  2. 水分をとる

  3. 運転・作業中なら中断する

  4. 頭痛に備え、必要なら薬を早めに準備する

多くは自然に消失しますが、無理は禁物です。


■ 治療について

閃輝暗点そのものを消す薬はありませんが、片頭痛の治療を行うことで発作の頻度や重症度を抑えることができます。

● 急性期治療

  • トリプタン系薬

  • ゲパント(※新しい片頭痛治療薬)

  • NSAIDs(ロキソニンなど)

● 予防治療

  • 抗CGRP抗体製剤(エムガルティ・アジョビなど)

  • 抗てんかん薬

  • βブロッカー

  • 漢方薬(呉茱萸湯など)

発作が月2〜3回以上あれば、予防薬の検討がおすすめです。


■ 検査について

  • 頭部MRI/MRA

  • 頸動脈エコー

特に40歳以降に初めて症状が出た場合は、脳の評価が重要です。


■ まとめ

閃輝暗点は片頭痛によくみられる視覚症状で、多くは心配のいらない現象です。
ただし、初めて起きた場合や症状が長く続く場合は、脳や眼の病気を除外するための検査が必要です。

「視界がおかしくて不安だった」
「何度も繰り返して生活に支障が出ている」

このようなお悩みがあれば、当院の頭痛外来へお気軽にご相談ください。