認知症 初期症状とは? アルツハイマー・レビー型それぞれの違い
高齢化が進む現代、「物忘れが増えたけど、これって認知症?」と心配する方は少なくありません。この記事では、認知症の初期症状に焦点を当て、特に日本で多いアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の違いをわかりやすく解説します。
🔍 認知症とは?定義と原因の基本
**認知症(dementia)**とは、記憶、判断力、言語能力、空間認識などの認知機能が持続的に低下し、日常生活に支障をきたす状態を指します。
代表的な原因疾患には以下があります:
アルツハイマー型認知症(AD):約60~70%を占める最多のタイプ
レビー小体型認知症(DLB):約15~20%とされ、近年注目されている
前頭側頭型認知症(FTD)、脳血管性認知症(VaD) なども存在
今回は「アルツハイマー型」と「レビー小体型」にフォーカスします。
🧠 認知症の初期症状とは?一般的な兆候
認知症の初期には以下のような症状が見られます:
物忘れ(短期記憶の低下)
同じ話を繰り返す
財布や鍵などの置き忘れが増える
予定を忘れる
名前や言葉が出にくい
簡単な計算が難しくなる
性格が変わる、怒りっぽくなる
不安や混乱、軽いうつ症状
これらの症状は加齢によるものと区別がつきにくいため、早期の医療相談が重要です。
✅ アルツハイマー型認知症の特徴と初期症状
🧩 原因と特徴
アルツハイマー型は、脳内にアミロイドβという異常なタンパク質が蓄積し、神経細胞が破壊されることで発症します。記憶障害が初期から目立つのが特徴です。
🔻 初期症状
日付や場所の感覚があいまいになる
物の名前が思い出せなくなる
繰り返し同じことを質問する
複雑な作業(料理、計算、公共料金の支払いなど)が困難に
社会的な活動への関心が薄れる
👉 周囲が「ちょっと変だな」と気づくのは、本人よりも家族であることが多いです。
🧩 レビー小体型認知症の特徴と初期症状
💡 原因と特徴
レビー小体型認知症は、脳内に**レビー小体(異常なタンパク質のかたまり)**が蓄積することで発症します。パーキンソン病に近い要素を持ち、身体症状・幻視・意識の変動が初期から見られることが特徴です。
🔻 初期症状
はっきりとした幻視(「虫が見える」「人がいる」など)
注意力や意識レベルの波(会話ができるときとできないときの差が大きい)
筋肉のこわばり、手のふるえ、歩行の不安定さ(パーキンソン症状)
睡眠中に大声や暴れる(レム睡眠行動障害)
自律神経障害(便秘、立ちくらみ、排尿トラブル)
👉「認知機能よりも身体症状が先に出る」「幻視が非常にリアル」という点で、アルツハイマー型と大きく異なります。
🔄 アルツハイマー型とレビー小体型の違いを比較表で確認
比較項目 | アルツハイマー型 | レビー小体型 |
---|---|---|
初期の主症状 | 記憶障害、見当識障害 | 幻視、注意力の変動、パーキンソン症状 |
幻視 | まれ | よく見られる(明瞭な幻視) |
意識の変動 | あまり目立たない | 日によって大きく変わる |
運動障害 | 通常は後期に出現 | 初期から出現することが多い |
MRI所見 | 海馬の萎縮 | 脳幹や後頭葉の血流低下など |
🏥 早期発見のためにできること
脳MRIやSPECT検査で、病気のタイプをある程度鑑別可能
**認知機能検査(MMSEや長谷川式)**を活用
家族の観察と記録が診断のカギになります
早期診断によって、**症状の進行を緩やかにする薬(ドネペジル、レカネマブなど)**が使える可能性も高まります。
📌 まとめ
認知症は「物忘れ」だけでなく、幻視・身体症状・注意力低下など多彩な症状で始まります
アルツハイマー型は記憶障害、レビー小体型は幻視・意識変動がカギ
早期の受診と適切な鑑別が、治療と介護方針を大きく左右します
🔎 よくある質問(FAQ)
Q. 年を取ると誰でも物忘れしますが、どう区別すれば?
→「最近の出来事を忘れる」が頻繁に起こり、日常生活に影響している場合は要注意です。
Q. 幻視が見えると必ずレビー小体型ですか?
→可能性はありますが、他の病気や薬の影響も考えられます。専門医の診断が必要です。
💡 最後に
「最近、親が同じ話を繰り返す」「姿勢が変わってきた」「誰もいないのに誰かが見えると言う」など、少しでも気になる変化があれば、早めの受診をおすすめします。認知症は「早く気づくこと」が家族と本人の人生を守る第一歩です。