感覚過敏と片頭痛

「頭痛がすると光がまぶしく感じる」
「テレビの音や子どもの声がつらい」
「香水や柔軟剤の臭いで頭痛が悪化する」

このような症状でお悩みではありませんか?

実はこれらは、

  • 光過敏
  • 音過敏
  • 臭い過敏

と呼ばれる感覚過敏であり、片頭痛患者さんによくみられる症状です。

頭痛外来では

「頭痛よりも光や音がつらい」

という相談を受けることがあります。

片頭痛は単なる頭痛ではなく、脳の感覚処理異常によってさまざまな症状を引き起こす神経疾患です。

今回は、感覚過敏と片頭痛の関係について、診断から治療までわかりやすく解説します。

 

感覚過敏とは?

感覚過敏とは、通常であれば問題にならない刺激を過剰に強く感じる状態です。

片頭痛患者さんでは、

  • 光過敏(Photophobia)
  • 音過敏(Phonophobia)
  • 臭い過敏(Osmophobia)

がよくみられます。

頭痛外来では、これらの症状が診断の重要な手がかりになります。

 

光過敏とは?

光過敏は片頭痛患者さんで最もよくみられる症状の一つです。

例えば、

  • 太陽光がまぶしい
  • LED照明がつらい
  • パソコン画面が見られない
  • コンビニやスーパーがまぶしい

などがあります。

実際に片頭痛患者さんの約80〜90%に光過敏がみられると報告されています。

「頭痛が始まる前から光がつらくなる」という患者さんは少なくありません。

 

音過敏とは?

音過敏とは、通常の音を不快または苦痛に感じる状態です。

例えば、

  • 子どもの声
  • テレビの音
  • 電車内のアナウンス
  • 食器の音

などがつらく感じることがあります。

片頭痛患者さんの約70〜80%に音過敏が認められます。

 

臭い過敏とは?

近年注目されているのが臭い過敏です。

片頭痛患者さんの約30〜50%にみられると報告されています。

誘因として多いのは、

  • 香水
  • 柔軟剤
  • タバコ
  • 整髪料
  • アロマ

などです。

頭痛外来では、「特定の臭いで頭痛が始まる」という訴えは珍しくありません。

 

なぜ感覚過敏が起こるの?

近年の研究では、

片頭痛患者さんでは脳の感覚処理ネットワークが過敏になっていると考えられています。

特に、

  • 視床
  • 大脳皮質
  • 三叉神経血管系

の異常が関与するとされています。

そのため、頭痛発作中だけでなく、頭痛がない時でも光や音に敏感な患者さんがいます。

 

感覚過敏は頭痛の前兆のことも

感覚過敏は、頭痛発作の数時間前から出現することがあります。

例えば、

  • いつもよりまぶしい
  • 音が気になる
  • 香水がつらい

などです。

頭痛外来では、このような症状を早期サインとして捉えることがあります。

 

MRI検査が必要な理由

感覚過敏があるからといって、必ずしも片頭痛とは限りません。

以下のような症状がある場合は、頭痛外来や脳神経外科でMRI検査をおすすめします。

  • 初めての強い頭痛
  • 急激な頭痛
  • 手足のしびれ
  • ろれつ障害
  • 視力障害
  • 性格変化
  • 意識障害

MRI検査では、

  • 脳腫瘍
  • 脳卒中
  • 脳動脈瘤
  • 脳静脈洞血栓症

などを確認します。

頭痛外来では危険な頭痛を除外するためにMRI検査が重要です。

 

頭痛外来で行う診断

頭痛外来では、

問診

  • 光過敏の有無
  • 音過敏の有無
  • 臭い過敏の有無

を詳しく確認します。

HIT-6

頭痛による生活支障度を評価します。

MIBS-4

頭痛がない時間帯の負担を評価します。

MRI検査

二次性頭痛の除外を行います。

 

治療について

急性期治療

発作時には、

  • トリプタン製剤
  • ラスミジタン
  • NSAIDs

などを使用します。

予防治療

頭痛外来では、

  • アミトリプチリン
  • ロメリジン
  • バルプロ酸
  • アクイプタ
  • ナルティーク

などを使用することがあります。

抗CGRP関連薬

近年では、

  • エムガルティ
  • アジョビ
  • アイモビーグ

などが使用されています。

研究では、頭痛頻度だけでなく、光過敏・音過敏の改善も報告されています。

 

日常生活でできる対策

光過敏

  • サングラス
  • 調光レンズ
  • ブルーライト対策

音過敏

  • ノイズキャンセリングイヤホン
  • 静かな環境確保

臭い過敏

  • 香料の強い製品を避ける
  • 換気を行う

感覚過敏と片頭痛のデータ

  • 光過敏:約80〜90%
  • 音過敏:約70〜80%
  • 臭い過敏:約30〜50%
  • 日本の片頭痛患者数:約840万人
  • 女性有病率:約12%
  • 男性有病率:約4%

 

Q&A

Q1. 光過敏だけでも片頭痛ですか?

頭痛がなくても片頭痛関連症状の可能性があります。

頭痛外来で評価をおすすめします。

Q2. 臭いで頭痛が起こることはありますか?

あります。

香水や柔軟剤は代表的な誘因です。

Q3. MRI検査は必要ですか?

危険な頭痛を除外するためにMRI検査が有用です。

Q4. 光過敏は治りますか?

頭痛治療によって改善することがあります。

Q5. 頭痛外来ではどんな治療をしますか?

MRI検査、頭痛診断、急性期治療、予防治療、生活指導を行います。

参考文献(国内)

  1. 日本頭痛学会 頭痛の診療ガイドライン2021
  2. 日本神経学会 慢性頭痛診療ガイドライン
  3. 日本頭痛学会誌 片頭痛患者の感覚過敏に関する研究
  4. 日本頭痛学会 国際頭痛分類第3版(ICHD-3)
  5. 日本神経治療学会 頭痛診療指針

参考文献(海外)

  1. International Classification of Headache Disorders 3rd Edition (ICHD-3)
  2. Goadsby PJ, et al. Migraine. Nat Rev Dis Primers. 2017.
  3. Burstein R, et al. Migraine and sensory hypersensitivity. Brain. 2015.
  4. American Headache Society Migraine Guidelines.
  5. Schwedt TJ. Multisensory hypersensitivity in migraine. Cephalalgia. 2013.

 

執筆 三木 貴徳(みき たかのり)

東大阪みき脳神経外科クリニック 院長

日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医
日本脳卒中学会 脳卒中専門医
日本脳神経血管内治療学会 神経血管内治療専門医

所属学会

  • 日本頭痛学会
  • 日本認知症学会

大阪市・東大阪市・八尾市を中心に、頭痛外来、MRI検査、脳卒中診療、認知症外来、脳ドックに力を入れています。

東大阪みき脳神経外科クリニック