片頭痛の種類
片頭痛というと、「頭の片側がズキズキ痛む病気」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
しかし、片頭痛にはさまざまな種類があり、頭痛の特徴や前兆の有無、発作の頻度によって分類されます。
また、頭痛だけでなく、視覚異常、しびれ、めまいなどを伴う場合もあります。
今回は、国際頭痛分類第3版(ICHD-3)に基づき、片頭痛の種類とそれぞれの特徴について解説します。
1.前兆のない片頭痛
最も一般的な片頭痛のタイプです。
主な特徴は、
- 4〜72時間続く頭痛
- 片側性の頭痛
- ズキズキする拍動性の痛み
- 日常動作で悪化する
- 吐き気、光過敏、音過敏を伴う
などです。
ただし、片頭痛は必ずしも片側だけに起こるわけではなく、両側に痛みが出る場合もあります。
頭痛発作を繰り返し、日常生活に支障をきたすことが特徴です。
2.前兆のある片頭痛
頭痛の前や頭痛と同時に、一時的な神経症状が現れるタイプです。
代表的な前兆が閃輝暗点(せんきあんてん)です。
視野にギザギザした光が見えたり、チカチカする部分が広がったりします。
前兆には次のようなものがあります。
- 視覚症状:閃輝暗点、視野の一部が見えにくくなる
- 感覚症状:手や顔のしびれ
- 言語症状:言葉が出にくくなる
典型的な前兆は徐々に広がり、個々の症状が5〜60分程度持続します。
前兆が消失した後に頭痛が起こることが多いですが、頭痛を伴わない場合もあります。
突然の視野障害や麻痺、言語障害では、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)との鑑別が重要です。
3.慢性片頭痛
慢性片頭痛は、頭痛が高頻度に起こるタイプです。
ICHD-3では、原則として、
- 月15日以上の頭痛が3か月を超えて続く
- そのうち月8日以上に片頭痛の特徴がある
などの条件を満たす場合に診断します。
慢性片頭痛では、仕事や家事などの日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
また、急性期治療薬の使用頻度が増えることで、薬剤の使用過多による頭痛(MOH)を合併する場合もあります。
治療では、頭痛日記による頭痛日数の把握や、予防薬の適切な使用が重要です。
4.脳幹性前兆を伴う片頭痛
脳幹に関連する一時的な神経症状を伴う片頭痛です。
代表的な症状には、
- 回転性めまい
- 構音障害
- 耳鳴り
- 複視(物が二重に見える)
- 運動失調
- 意識レベルの低下
などがあります。
ICHD-3では、脳幹症状のうち少なくとも2種類を伴い、運動麻痺や網膜症状を伴わないことなどが診断条件です。
脳幹梗塞などの重大な疾患との鑑別が必要であり、初めて症状が出現した場合には慎重な評価が求められます。
5.片麻痺性片頭痛
片頭痛の前兆として、一時的な運動麻痺が出現するタイプです。
主な症状は、
- 片側の手足に力が入りにくい
- 視覚異常
- 感覚障害
- 言語障害
などです。
家族性片麻痺性片頭痛と孤発性片麻痺性片頭痛に分類されます。
片麻痺性片頭痛はまれな病気ですが、脳梗塞と似た症状を示すため注意が必要です。
突然の麻痺を片頭痛と自己判断してはいけません。救急受診が必要です。
6.網膜片頭痛
片眼に一時的な視覚症状が出現する、非常にまれな片頭痛です。
- 片眼の視野が欠ける
- 片眼が一時的に見えにくくなる
- 片眼に光が見える
などの症状が起こります。
ただし、片眼の視覚障害では、網膜や視神経の病気、一過性黒内障などを先に除外する必要があります。
7.その他の片頭痛関連疾患
月経関連片頭痛
月経の前後に片頭痛が起こりやすくなるタイプです。
月経時の片頭痛は、発作が長引いたり、強い痛みを伴ったりする場合があります。
ICHD-3では、月経関連片頭痛は付録の診断基準に位置づけられています。
前庭性片頭痛
片頭痛に関連して、繰り返すめまいが起こる病気です。
回転性めまいやふわふわするめまいがみられ、頭痛を伴わない場合もあります。
前庭性片頭痛もICHD-3の付録に収載されています。
片頭痛重積発作
強い片頭痛発作が72時間を超えて続き、日常生活に大きな支障をきたす状態です。
脱水などを伴うこともあり、適切な治療が必要になります。
よくある質問(Q&A)
Q1.片頭痛は必ず片側が痛みますか?
いいえ。片頭痛は両側に起こる場合もあります。痛みの場所だけで片頭痛かどうかを判断することはできません。
Q2.閃輝暗点があっても頭痛が起こらないことはありますか?
あります。典型的前兆のみで頭痛を伴わない片頭痛も存在します。ただし、初めての視覚異常では脳血管疾患や眼科疾患との鑑別が必要です。
Q3.片頭痛と緊張型頭痛の違いは何ですか?
片頭痛は吐き気や光・音過敏を伴い、日常動作で悪化しやすい特徴があります。緊張型頭痛では、圧迫されるような痛みが多く、通常は日常動作で悪化しません。
Q4.片頭痛が慢性化することはありますか?
あります。頭痛頻度の増加や急性期治療薬の使用過多などが関係する場合があります。頭痛日記をつけ、適切な予防治療を検討することが重要です。
Q5.片頭痛の種類によって治療は変わりますか?
はい。発作の頻度、重症度、前兆の有無、合併症などによって治療方針が異なります。急性期治療薬だけでなく、予防薬を使用する場合もあります。
まとめ|片頭痛は種類に応じた診断と治療が重要
片頭痛には、前兆のない片頭痛、前兆のある片頭痛、慢性片頭痛など、さまざまな種類があります。
また、めまいや視覚異常、しびれなど、頭痛以外の症状が現れる場合もあります。
片頭痛の種類を正しく診断することは、適切な治療薬の選択や予防治療につながります。
東大阪みき脳神経外科クリニックでは、頭痛外来において片頭痛の診断・治療を行い、必要に応じてMRI・MRA検査による評価を実施しています。
大阪市・東大阪市・八尾市で、繰り返す片頭痛や頭痛にお悩みの方はご相談ください。
参考文献
- 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会.頭痛の診療ガイドライン2021.
- Headache Classification Committee of the International Headache Society. The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3). Cephalalgia. 2018;38:1–211.
- Ashina M. Migraine. N Engl J Med. 2020;383:1866–1876.
- Charles A. The pathophysiology of migraine: implications for clinical management. Lancet Neurol. 2018;17:174–182.
- Lempert T, et al. Vestibular migraine: Diagnostic criteria (Update). J Vestib Res. 2022;32:1–6.
この記事を執筆・監修した医師
三木 貴徳(みき たかのり)
東大阪みき脳神経外科クリニック 院長
資格
- 日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医
- 日本脳卒中学会 脳卒中専門医
- 日本脳神経血管内治療学会 脳血管内治療専門医
所属学会
- 日本頭痛学会
- 日本認知症学会

