キアリ奇形1型について
小脳扁桃が脊柱管内にのみ下降し、後頭骨の低形成が原因とされます。
症状は年齢によって異なりますが、主に下記のような症状があります。
キアリ奇形1型の主な症状
- いびき
- 睡眠時の無呼吸
- 飲み込みの困難
- 頭痛の誘発
- 手のしびれや筋力低下
※脊髄空洞症が合併した場合
キアリ奇形2型について
小脳虫部の下部、延髄、橋、第4脳室が脊柱管内に陥入します。
この型は乳幼児期に多く発見され、ほとんどが脊髄髄膜瘤や水頭症を併発します。
症状がない場合もありますが、10〜30%の患者では主に下記のような症状があります。
キアリ奇形2型の主な症状
- 飲み込み困難
- 呼吸時の音
- 無呼吸発作
- 上記の他、重篤な症状が現れることがあります
キアリ奇形の原因
現在、キアリ奇形の原因は明確にはわかっていませんが、以下の要因が関連していると考えられています。
先天性要因
キアリ奇形は、胎児の発達過程で頭部の神経組織が正しく形成されないことによって引き起こされると考えられています。特に後頭骨の形成不全が関与していることが示唆されています。
遺伝的要因
遺伝的要因もキアリ奇形の発症に関与している可能性があります。家族内での発症の集中や遺伝子の変異が一部の患者で見られることがあります。
環境要因
一部の研究では、胎児期や乳幼児期の外傷、感染症、または母体の薬物の摂取などの環境要因がキアリ奇形のリスクを増加させる可能性があるとされていますが、これについては詳細な研究が必要です。
キアリ奇形の治療
キアリ奇形の治療は、症状の程度や進行具合、合併症の有無などを考慮して個々の状態に合わせて行います。
観察と経過観察
症状が軽度である場合や手術がリスクを伴う場合、または症状の進行が緩やかである場合には、観察と経過観察が選択されることがあります。定期的な医学的モニタリングやMRI検査が含まれます。
外科手術
症状が重篤である場合や進行が速い場合には、外科手術が必要となることがあります。
手術の目的は、脳脊髄液の流れを改善し、脊柱管内の圧力を軽減することです。手術には、後頭頸部減圧術や脊髄髄膜瘤の摘出、または頭部内圧を調整するためのシャント手術などが含まれます。
症状の管理
症状の軽減や管理のために、薬物療法が行われることがあります。
痛みや不快感を緩和するための痛み止めや、睡眠時無呼吸を軽減するための呼吸補助装置が使用される場合があります。