『物忘れ・認知症』についてご相談ください。
『認知症外来』を行っております
認知症とは何らかの病気や障害などの様々な原因によって、記憶や判断などを行う脳の機能(認知機能)が低下し、日常生活や仕事に支障をきたすようになった状態のことをいいます。
我が国では高齢化の進展とともに、認知症の人も増加しています。65歳以上の高齢者では、平成24年度の時点で7人に1人程度とされ、年齢を重ねるほど発症する可能性が高まり、今後も認知症の人は増え続けると予想されています
認知症はさまざな原因で発症しますが、治療可能な認知症とその他の認知症に分けることができます。
『東大阪みき脳神経外科』は、近鉄大阪線・近鉄奈良線『布施』駅から徒歩約3分で、駅が至近のためご来院いただきやすい環境です。
現在は、大阪市や東大阪市、八尾市、大東市、柏原市からも多くの患者様にご来院いただき、認知症、物忘れなどの治療を行っております。
治療可能な認知症
正常圧水頭症
正常圧水頭症とは髄液の流れに何らかの異常が生じ、脳室内に脳脊髄液が溜まることにより脳室が拡大し、脳が圧迫され萎縮する病気です。
歩行障害、認知障害、尿失禁が主症状でありこれらは3徴候と呼ばれます。
MRI検査で脳室の拡大所見があり、他の疾患では症状を説明できない場合には、特発性正常圧水頭症を疑い、次にタップテストと呼ばれる検査を行います。タップテストとは、腰椎穿刺(腰から針を刺す)を行い、脳脊髄液を排除して、症状(歩行障害、認知障害、尿失禁)が改善するかどうかを確認します。
タップテストで改善があれば、正常圧水頭症と診断しシャント術とよばれる手術を行います。シャントとは日本語で「短絡」を意味し、余計な脳脊髄液が体内の別の場所に常時排出されるよう、チューブで繋ぐ手術ということになります。
手術を希望される方は提携の脳神経外科専門病院へ紹介させていただきます。
MRI冠状断 脳室、シルビウスレ裂の拡大を認めます。
慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫は、急性の頭部外傷ではなく、頭部を打撲してから3週間から3か月ほど経ってから、頭蓋骨と脳の間に血液が溜まってくる状態です。
歩行障害、頭痛、物忘れ、失禁といった症状がみられ、重症の場合は、意識障害を起こすこともあります。高齢者の場合は、認知症と間違われることもあるので注意が必要です。診断は頭部MRI検査で硬膜下の血種の有無を確認します。
症状がある場合は穿頭ドレナージ術を行います。局所麻酔下に、頭蓋骨に直径約1cmの穴をあけ、硬膜を切開して血腫を吸引除去します。脳への圧迫をなくすことで症状の改善が期待できます。入院期間は通常1週間ほどです。術後、再発の可能性が5~10%程度あり、MRIやCT検査による定期的な経過観察を行います。
右硬膜下腔に血種の貯溜認めます。
脳腫瘍
脳腫瘍とは、その脳や脳をとりまく組織にできる腫瘍の総称で、複数のタイプがあります。脳腫瘍の患者数は10万人あたり10人程度と推測されており、乳幼児から高齢者まであらゆる世代にみられるのが特徴です。脳以外の部位にできたがん細胞が血液によって運ばれて頭蓋内に転移する転移性脳腫瘍と、脳内の細胞そのものががん化する原発性脳腫瘍に分類されます。
脳腫瘍は頭蓋骨の内側に生じるため、ある程度の大きさになると頭蓋骨の内側の圧力が増加することによって、腫瘍の種類に関係なく共通した症状があらわれます。頭痛、嘔吐、目がかすむ(視力障害)が代表的な症状で、これは頭蓋内圧亢進症状と呼ばれています。特に早朝頭痛と言われるような朝起床時に強い頭痛を訴える場合、食事とは無関係に悪心を伴わずに吐く場合などは、頭蓋内圧亢進が疑われます。腫瘍が疑われる場合、症状の詳しい経過を問診した上で、腫瘍の位置や大きさを確かめるために、MRI検査で頭の中の画像検査を行います。
治療法は、標準治療に基づいて、体の状態や年齢、患者さんの希望なども含めて検討します。良性腫瘍は、正常組織との境界がはっきりしているため手術で切除できるものが多く、完全に切除すれば治癒が期待できます。脳の奥深くに腫瘍があるなど切除が困難な場合には、手術で腫瘍の一部を切除してから、放射線治療を行うことがあります。腫瘍の増殖速度が遅い場合は、すぐに治療せず、しばらく経過を観察することもあります。悪性腫瘍では、腫瘍の種類や悪性度に応じて、手術や放射線、薬物療法を組み合わせた治療を行います。
右脳に腫瘍性病変認めます。髄膜種を疑います。
甲状腺機能低下症
甲状腺は、喉仏の下にあるホルモン分泌器官で、5cm程度の小さな臓器です。ヨードを材料にして甲状腺ホルモンを産生、分泌しています。
甲状腺ホルモンは、全身の新陳代謝を活性化するホルモンです。多すぎると新陳代謝が活発になりすぎて興奮状態が持続してしまい、逆に少なすぎると気力や活力が低下し、うつ病や認知症に似た症状が出現します。
採血により甲状腺ホルモンを測定し、低下があれば甲状腺機能低下症と診断されます。
甲状腺機能低下症の治療には、甲状腺ホルモンである合成T4製剤(チラーヂン®S)の服用による治療を行います。
その他の認知症
アルツハイマー型認知症
65歳以上の高齢者の約6人に1人が認知症であり、そのうちの多くがアルツハイマー型に該当しますアルツハイマー型認知症は、認知症全体の約60〜70%を占める最も頻度の高い疾患でアルツハイマー型認知症は脳の神経細胞が徐々に減っていく進行性の病気で、アミロイドβ(ベータ)と呼ばれる異常なたんぱく質の蓄積と神経原線維変化(過剰にリン酸化されたタウ蛋白の蓄積)という脳の中での2つの変化を特徴とします。
病気が進むにつれて、もの忘れなどさまざまな症状が現れますが、進行は比較的ゆるやかです。
原因については解明されていないことも多くありますが加齢、遺伝、生活習慣病(高血圧、脂質異常、糖尿病、肥満、喫煙)、社会的孤立など様々な要因が発症および病状の進行に関連していると考えられています。
症状はものわすれからゆっくりと進行し、徐々に、時間や場所がわからなくなる(見当識障害)計画や手順が立てられない(実行遂行機能障害)などが現れ、進行すると家族の顔がわからなくなる、徘徊や暴言(BPSD)などが出現します。
側頭葉の内側、海馬中心に脳の萎縮を認めます。
アルツハイマー型認知症の検査
アルツハイマー型認知症の検査は問診、脳の画像検査(MRI/CT)、神経心理検査(長谷川式、MMSE)、PET検査や髄液検査などを組み合わせて診断します。
アルツハイマー病の経過は、発症前アルツハイマー病の段階 → 軽度認知障害(MCI) → アルツハイマー病による認知症の経過をたどっていきます。
軽度認知障害(MCI)は、もの忘れだけのような軽度の認知機能の障害の状態を示すもので、その原因の1つがアルツハイマー病です。
ほかの疾患が原因でこの軽度認知障害を起こしていることもあるため、アルツハイマー病によるものか、別の疾患によるものかを正しく診断することが重要になっています。
ここでMRI検査が非常に役に立ちます。
しかしながら発症前アルツハイマー病の段階は、MCI以前の段階で症状が全くありません。
この段階ではMRI検査で異常を見つけるのは困難ですが、アミロイドPETや髄液検査が役に立ちます。
髄液検査は腰椎の間に針を刺して髄液を抜き取るため、侵襲的な検査といえます。
一方、PET検査は静脈注射した後、頭を撮影するだけなので非侵襲的検査といえます。
これは脳を解剖することなく、PET検査で脳にアミロイドがたまっているかどうかを診ることができる方法です。
アルツハイマー型認知症の治療
アルツハイマー型認知症の治療には、以前から使用されている薬で、脳の中で弱った神経細胞の働きを補う薬(コリンエステラーゼ阻害薬:アリセプト、レミニール、リバスチグミン)、神経細胞が死んでしまうのを遅らせる薬(NMDA受容体阻害薬:メマリー)があります。
これらはいずれも、症状を一時的に和らげることを目的とする「対症療法」と呼ばれ、アルツハイマー病の発症や進行を止めることはできません。
しかしながら近年、脳内の原因物質「アミロイドβ」を取り除き、進行を抑制する新しい薬が登場しました。
「レカネマブ(レケンビ®)」と「ドナネマブ(ケサンラ®)」の2種類です。
軽度認知障害(MCI)や軽度の認知症が対象です。
どちらも原因物質であるアミロイドβを取り除く薬剤ですが、作用するアミロイドβの段階や投与量、投与頻度、投与期間等に違いがあります。
レケンビ®はアミロイドβの凝集過程(プロトフィブリル)に、ケサンラ®はアミロイドβの凝集体(アミロイドβプラーク)に作用します。
またレケンビ®は2週間に1回、治療は原則として18ヶ月継続して行われます。
一方ケサンラ®は4週間に1回点滴投与を行います。
治療は原則として、12か月後にアミロイドPETを施行し、効果が認められれば12か月で終了となり、効果が認められなければ18ヶ月継続して行われます。
副作用に関しましては両薬剤とも、薬剤アレルギー反応が出ることがあります。
発熱、悪心/嘔吐、頭痛など10%程度にみられます。
またアミロイド関連画像異常(ARIA)という脳に限局した小出血や浮腫が20〜30%みられることがあります。
症状が出るのはその一部ですが、定期的な頭部MRIで注意深い経過観察を行います。
詳しくはメーカーWEBサイトでご確認いただけます。
当院でのアルツハイマー型認知症への対応について
当院では認知テスト(MMSE)や採血(甲状腺機能、ビタミンB12、ビタミンB1、葉酸など)、また頭部MRIを撮影し、認知機能低下を引き起こす可能性のある他の疾患を迅速に鑑別いたします。
アルツハイマー型認知症の可能性のある方に対しては、アミロイドPETの検査依頼やレカネマブ®、ケサンラ®の適応も含め、関連協力病院(市立東大阪医療センター、東大阪生協病院、八尾こころのホスピタル、大阪赤十字病院、大阪けいさつ病院など)へご紹介させていただきます。
またケサンラ®投与から6か月以降は当院にて継続投与できるよう、院内体制整えております。
レカネマブ®、ケサンラ®などの抗アミロイドβ抗体薬の登場により、治療が困難と考えられていたアルツハイマー型認知症に対して希望の光が見えてきたと感じております。
しかしなからこれらの薬剤は症状進行をおさえる薬であり、失われた機能を改善する薬ではありません。
MCIなどなるべく発症早期に投与することで、治療の最大の恩恵を得ることができます。
症状が進行してからではなく、早期の受診をお勧めします。
脳血管性認知症
アルツハイマー型認知症に次いで多く、全体の約20%を占めます。
脳血管性認知症は脳血管障害(脳梗塞や脳内出血など)にて生じる認知症です。
脳梗塞とは脳の血管が詰まって、脳の一部に血が流れなくなってその部分の脳の働きが消えてしまう病気です。
脳出血は脳の血管が破れて出血し、その部分の脳細胞が溜まった血液によって押されて様々な症状が現れます。
脳梗塞や出血が起こると、起こった部分の脳機能が局所的に障害されますが、血流に問題ない部分の脳機能は維持されます。
このように、できることとできないことに大きな能力の差がある状態のことをまだら認知症と言います。
物忘れや意欲低下にくわえて呂律が回らない、手足のまひ、歩行障害、飲み込みが悪いなどの運動症状を呈することもあります。 症状の進行をおさえるためには脳梗塞や脳出血の原因となる高血圧や糖尿病、高脂血症、心房細動など生活習慣病のコントロールが重要です。
レビー小体型認知症
アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症の3つを3大認知症と呼びます。
レビー小体型認知症はその名の通りレビー小体という異常タンパクが中枢神経や自律神経に出現します。
認知症以外にさまざまな症状がみられます。
見えないものが見える(幻視)、嗅覚障害、立ちくらみや便秘などの自律神経症状また動きが緩慢になり筋肉が固くなるパーキンソン症状などが出現します。
MRI検査以外に特殊な検査(MIBG心筋シンチグラフィやダットスキャン)を行い、ほかの認知症と鑑別します。
アルツハイマー型認知症と同様に根本的な治療法はありません。
それぞれの症状に対して適切な薬剤を使用し、症状を緩和する対症療法が治療の要となります。
※当院ではMIBG心筋シンチグラフィ、ダットスキャンは撮影できません。必要な場合は撮影可能な医療機関へ紹介させていただきます。
前頭側頭型認知症
ほかの認知症とくらべて若い年齢で発症します。平均発症年齢は40~60歳といわれています。
前頭葉は人格・社会性・言語を、側頭葉は記憶・聴覚・言語を主につかさどっています。
そのため人格の変化や社会性の欠如、失語症の症状を呈します。
特徴的にはお店で万引きをするなどの反社会行動、同じ時間に同じ行為をするといった常同行動、自分や他人に無関心になる自発性の低下、言葉の使用と理解が次第に困難になる失語症を呈します。
前頭側頭型認知症の有効な治療法はまだ見つかっていないが実情です。そのため症状を緩和するための対症療法やケアが治療の中心となっています。対処療法として、抗うつ病薬の一部に行動異常を和らげる効果が認められています。
