全く新しいタイプの
アルツハイマー病治療薬である
『レケンビ®』の製造販売が承認され
2023年12月20日に発売されました
アルツハイマー型認知症の新規治療薬『レケンビ®』は、可溶性アミロイドβ凝集体(プロトフィブリル)に選択的に結合するとともに、Aβプラークの主要構成成分である不溶性アミロイドβ凝集体(フィブリル)にも結合し、脳内のAβプロトフィブリルおよびAβプラークを減少させると考えられています。
つまり認知症において対症療法ではなく、病気の原因物質の除去を目的とした世界で初めてかつ唯一の治療薬です。
適応症
『レケンビ®』の適応症は認知症の原因疾患の約7割を占めるとされるアルツハイマー病(AD)であり、治療対象はADによる軽度認知障害(MCI)または軽度認知症の患者です。
『レケンビ®』の安全性については、抗Aβ抗体の副作用として、アミロイド関連画像異常(ARIA)が指摘されており、ARIAには、脳微小出血、脳出血、脳表ヘモジデリン沈着などを認めるARIA-Hと、脳浮腫や滲出液貯留を認めるARIA-Eがあります。
具体的には『レケンビ®』投与前に認知機能テストでMMSE22/30以上および頭部MRIにて血管原性脳浮腫、5個以上の脳微小出血、脳表ヘモジデリ ン沈着症又は1cmを超える脳出血を除外する必要があります。
また、治療開始前には治療薬のターゲットとなるAβ病理の確認が必要で、髄液検査またはアミロイドPET検査を追加します。
投薬方法
投薬は点滴静注を2週間に1回1時間程度かけて行います。
患者約1,800人を対象にした臨床試験(治験)では、レカネマブ投与群は偽薬投与群に比べて18ヶ月後の臨床症状の悪化が27%抑えられた(症状の進行を7.5ヶ月遅らせることに相当)という効果が示されていますが、アミロイド関連画像異常(Amyloid Related Imaging Abnormalities:ARIA)として、脳浮腫(ARIA-E)と脳微小出血(ARIA−H)という副作用も報告されていますので、精度の高いMRI検査による定期的なフォローが必要となります。
投与期間は原則18カ月までで、さらに継続する場合は有効性と安全性を評価した上で判断することとしています。
当院での対応について
当院ではMRI検査や認知機能検査を行い、レケンビ®投与の適応があると判断した場合は、(現在当院では処方ができないため)投与可能な連携医療機関へ紹介させていただきます。